令和2年度(2020年度)広島大学国語大問1の解説:後編

広島市安佐南区大町にある難関大学文系対策専門塾、進学空間Move 高校部の小林です。

この記事では、令和2年度(2020年度)広島大学2次試験国語大問1の解説をします。

広島大学合格のための対策や受験勉強に役立ててください。

問6:同義換言問題

傍線部⑤に「人工呼吸器の装着は悪い意味での「延命治療」として、忌避する選択肢になってしまう」とある。これはどういうことか。「悪い意味での「延命治療」」とは何かを明確にして説明せよ。

まずは、傍線部を一文に戻しましょう。

すると、「そのとき」という指示語が現れますね。

これを踏まえて、言い換えるべき主なポイントを整理すると、以下の点になるでしょう。

①「そのとき」とは、どういうときか

②「悪い意味での「延命治療」」は、なぜ「悪い」のか

では、①から検討していきますね。

「そのとき」とは指示語ですから、前に書かれている指示内容を整理してあげましょう。

人工呼吸器の装着という延命治療は、自分らしく生きるためのツールになりうるにも関わらず、その可能性を知らないまま選択を迫られたり、周囲の人間が偏った情報提供をしてしまったとき

上記の内容の中には、「悪い意味での「延命治療」」を成り立たせる上で必要な、「良い意味での「延命治療」」の説明も含まれていますね。

相対的評価は、セットで考えるのが基本ですよ。

「悪い」があるなら「良い」がある。

「本当の」があるなら、「偽の」がある。

頭に入れておいてくださいね。

次に、②についてです。

①でも見た通り、人工呼吸器の装着は、本来自分らしく生きるためのツールになりえます。

けれども、それを知らない場合、知らされない場合は、「忌避する選択肢」になってしまうわけです。

知っていれば良いもの、知らなければ悪いもの。

そう感じてしまうのは、対象へ悪い先入観を抱いているからですね。

本文には、以下のように書かれています。

「延命治療」という言葉で何を指すかについてはかなりの幅があるが、一般的には「治癒や回復にはつながらない治療」、その中でも特に「QOLが低い状態で生物学的な生命だけを延ばすような治療(本人の生活や人生の充実にはまったく寄与しないもの)」といったマイナスのイメージを伴って使われることが多い。

安藤泰至「生命操作システムのなかの〈いのち〉ー生の終わりをめぐる生命倫理問題を中心に」による

これらをまとめて解答を構成しましょう。

①人工呼吸器は、自分らしく生きるためのツールになりえるにも関わらず、 / ②その可能性を知らないまま選択を迫られたり、 / ③「延命治療」という言葉が持つ、不自然なものだという悪い印象を踏まえた / ④偏った情報提供を受けた場合、 / ⑤装着を拒否されてしまうということ。

① ⇒ 「悪い意味での「延命治療」」を成立させるために必要な、「良い意味での「延命治療」」の説明

② ⇒ 「そのとき」の言い換え1

③ ⇒ 「悪い意味での「延命治療」」の説明

④ ⇒ 「そのとき」の言い換え2

⑤ ⇒ 「忌避する選択肢になってしまう」の言い換え

問7:本文の要旨要約

筆者によると、「尊厳死」や「延命治療」という言葉は、現代医療においてどのように作用しているか。本文全体をふまえて百字以内で説明せよ。

字数は多いですが、いたってシンプルな問題です。

なぜなら、この問題に答える上で必要な要素は、全てここまでの問題で拾ってきたからです。

本文の要旨要約が出題された場合、そこまでに解いてきた問題が最大のヒントになります。

問題は本文の内容の理解度を問うために出題される。

要旨要約は、理解した本文の内容をまとめる。

この仕組みさえ分かっていれば、当然のことだと納得いただけるでしょう。

では、「尊厳死」や「延命治療」という言葉は、現代医療において、どのように捉えられていたでしょうか。

①「尊厳死」 ⇒ 良いイメージ

②「延命治療」 ⇒ 悪いイメージ

次に、それらはどのような効果を現代医療にもたらしたでしょうか。

③治療で「尊厳のある生」を保てないかということを問い直すことなく、

④治療ではなく死を選択させる効果

以上4点をまとめます。

「尊厳死」は良いイメージ、「延命治療」は悪いイメージを含む言葉であるため、治療によって「尊厳のある生」を保てないかということを問い直すことなく、患者に死を選択させやすくするようにで作用している。【97字】


以上で、令和2年度(2020年度)広島大学国語大問1の解説を終わります。

次は大問2の解説でお会いしましょう。

お疲れさまでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です