令和2年度(2020年度)広島大学国語大問1の解説:前編

広島市安佐南区大町にある難関大学文系対策専門塾、進学空間Move 高校部の小林です。

この記事では、令和2年度(2020年度)広島大学2次試験国語大問1の解説をします。

広島大学合格のための対策や受験勉強に役立ててください。

広島大学国語の大問1

広島大学2次試験国語の大問1では、論理的な文章が出題され、7~8つの問いが設定されます。

問1では漢字がの読み書きが5つ出題され、その他の設問は抜き出し問題、空所補充問題、記述問題など、レパートリーが豊富です。

ただし、選択肢問題については過去20年間で2度しか出題がありません【2010年度、2016年度】ので、記述問題の対策に力を入れていくべきでしょう。

特に、字数制限無しの記述問題・80字~100字程度の記述問題の訓練に時間をかけたいところです。

また、平成31年度(2019年度)、令和2年度(2020年度)に関して言うと、表現効果を問う出題がありました。

具体的には、()で補足説明を加えることによりもたらされる効果、文章内で逆接を多用することによりもたらされる効果が問われました。

高大接続改革における大学入試の変化、ことセンター試験から共通テストへの変化を反映させたものだと考えられます。

同じ広島県という括りで考えると、広島県公立高校入試においても同様の変化が見られましたから、表現と効果についての知識もカバーしておきましょう。

問いにおける〈解の原則〉

問いに答える際に意識しておかなくてはいけないものが、〈解の原則〉です。

これから行っていく問題解説は、〈解の原則〉の中でも最も重要な、以下の2つを利用したものです。

①「どういうことか」問題は、同義換言問題である

②「なぜか」問題は、直接要因から構成する

詳しいお話は解説を進めていく中でしていこうと思いますので、まずはこの2つだけを頭の片隅に留めておいてください。

では、早速行ってみましょう。


問1:漢字の書き

a.過剰

b.解析

c.尚早

d.

e.不祥事

こちらは満点で行きたいところです。

たかが漢字の書きとはいえ、その「たかが」の差の中にどれだけ多くの受験生がいるかを思えば、ここを軽視はできないはずです。

そもそも、漢字を理解している量は、そのまま漢文の理解力にも直結してきます。

語彙が足りないのであれば、地に足をつけて向き合う他ありません。

「漢字は苦手だし1~2問落としちゃうけど、どうにかなるだろ!」と考えている人は、今この瞬間から漢字の学習を始めてください。

問2:表現の意図を問う記述問題

傍線部①に「質が低い(というレッテルが貼られた)生」とある。筆者が、ただ「質が低い生」とせずに、「というレッテルが貼られた」という語句を挿入したのはどのような意図からか。説明せよ。


理由や原因、意図を問う問題は、まず以下の構図を意識しましょう。

~という意図【自分の解答】から、「というレッテルが貼られた」という語句を挿入した。【問い】

自分の解答と問いを合体させたときに、適切な説明になっているか。

当然のことですが、そこの確認さえできれば、理由説明の問題の正答率は100%ですよね。

次にすべきことは、傍線部【傍線を含む一文】の分析です。

人々が「病気や障害がないこと」「より健康であること」を過剰なほどに求める社会というのは、病気や障害を持つことや老いることに対する私たちの不安を煽り続ける社会でもあり、

実際に病気や障害をもって生きる人々の価値を低め、(中略)

こうした「より質の高い生」への希求「質が低い(というレッテルが貼られた)生」の抹殺という組み合わせこそ、(中略)

安藤泰至「生命操作システムのなかの〈いのち〉ー 生の終わりをめぐる生命倫理問題を中心に」による

傍線部を一文に戻すと、「こうした」という指示語が現れます。

〈「より質の高い生」への希求と「質が低い(というレッテルが貼られた)生」の抹殺という組み合わせ〉についての説明が、前の文脈にあるという合図ですね。

同じ色の部分が対応関係を示しています。

私たちが注目すべきはの部分ですね。

つまり、「質が低い(というレッテルが貼られた)生」とは「病気や障害をもって生きる人々の価値が低められていること」を意味しています。

ここで重要なのは、「低められている」ということです。

実際に低いわけではない、社会によって低いとされているということなんですね。

「レッテルを貼る」とは、「一方的に断定して評価する」こと。

それを( )を用いて挿入しているわけです。

表現効果の基本は、

①他と異なる表現を用いて強調すること

②特定の意味を付与すること  です。

以上を踏まえて、私の作成した解答例をご覧ください。

病気や障害、老いを伴う生の価値が低いという印象は、 / ②健康な生の価値と比較して / ③実際に低いのではなく、社会が一方的に下している評価に過ぎないことを / ④強調する意図。

/ によって、解答に必要な要素を分けています。

①「質が低い生」の指示内容の明示

②「低い」という相対的基準を成り立たせる、「高い(とされている)」ものの明示

③「(というレッテルが貼られた)」の言い換え、そこに込められた主張の説明

④語句挿入に伴う効果・意図

以上の4要素です。

こうして要素分けをしているのは、自身の解答と模範解答との対応関係を把握しやすくするためです。

4つの要素中、あなたの解答はいくつ満たしているでしょうか。

1つなら、25%。

10点満点なら2点~3点。

あくまで概算にはなりますが、自己採点も可能になります。

国語の解答は1つですが、表現は多様です。

模範解答の要素を適切に言い換えることができていれば、それは正答ですよ。

しかし、受験生の皆さんにその判断は難しいかもしれませんから、困ったときには信用できるプロに頼ってくださいね。

問3:同義換言問題

傍線部②は「生の始まりと終わりをめぐる問題は驚くほど相似的なものである」とある。両者は、どういう点で相似的だというのか。本文中の語句を用いて説明せよ。


説明問題の基本は、同義換言〈同じ意味の言葉で言い換える〉ことですが、問われ方によって言い換えの抽象度が変わってきます。

今回は「本文中の語句を用いて」という指定がありますから、本文の語句を土台に据えての編集作業になりますね。

では、傍線部の分析に参りましょう。

(前略)このように、人間の誕生や死をある特定の価値観を背景にして人為的にコントロールするための「相互補完的な一体性をもって進む生命操作システム」という観点でとらえてみるならば、

生の始まりと / 終わりをめぐる問題は / 驚くほど相似的なものである

ことが見えてくる。

安藤泰至「生命操作システムのなかの〈いのち〉ー 生の終わりをめぐる生命倫理問題を中心に」による

傍線部を一文に戻すと、「このように」という「まとめ」を意味する語が出てきますから、前の文脈に具体的な内容が書いてあることが分かります。

また、で示した部分は、「生の始まりと終わりをめぐる問題」を「相似的なものである」と捉えるための条件付けですね。

のような観点で捉えると、両者が相似だと分かる、と言っているのです。

では、【人間の誕生や死をある特定の価値観を背景にして人為的にコントロールするための「相互補完的な一体性をもって進む生命操作システム」という観点】とは、どこに書いてあるのでしょうか。

傍線部を含む段落の1つ前の段落を読んでみましょう。

よりよい(とされる)生をデザインしていくようなベクトル(特別に優秀な男性の精子を選んでの人工授精といったものから、ゲノム編集技術を使った遺伝子改造に至るまで)と、悪い(というレッテルを貼られた)生を生きるであろう胎児や受精卵を事前に排除していくようなベクトルとは、相互補完的な一体性をもって進んできていると言えるだろう。

安藤泰至「生命操作システムのなかの〈いのち〉ー 生の終わりをめぐる生命倫理問題を中心に」による

傍線部の直前にあった〈人間の誕生をある特定の価値観を背景にして人為的にコントロールするための「相互補完的な一体性をもって進む生命操作システム」〉の言い換え表現が発見できました。

同色が対応しています。

〈ある特定の価値観〉とは、問2でも触れた、社会が持っている ①「より質の高い生」への希求 と ②「質が低い(というレッテルが貼られた)生」の排除 という価値観のことですよね。

以上を踏まえた解答例を示します。

②よりよいとされる生の追求や、悪いとされる生の排除のために人為的な操作を行おうという、 / ①現代社会がもつ価値観を背景とした相互補完的な問題であるという点。

①「相似」 → AとBはCという点で似ている のCの部分、つまり共通点の説明

② ①の具体的内容の明示


文字数がそれなりに多くなりましたので、続きは次回に回すことに致します。

【令和2年度(2020年度)広島大学国語大問1の解説:中編】でお会いしましょう。

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